01_ここから始まる
さて、ご無沙汰しております。
以前「やりたいことがある」と書いてからなんと一年が過ぎておりました。悠長すぎるにもほどがある。
どんなことをしたいのか――と説明する前に、読んでいただきたい文があります。
以前、某SNSで書いたものなのですが、中身に思い入れが強いので退会するときにコピーしてきました。一部加筆修正してこちらに再掲します。
+++++
心の中で殿堂入りしているお菓子がある。
有名どころで今更感はあるが
京菓子處 鼓月 の 「千寿せんべい」
みなさま、ご存知ですよね。なのでくどくどしく説明する必要はないでしょうけども、語りたいので語らせていただきます。
そもそもまずお店のロゴが「鼓」にそっと添えられた「月」(打っている手なのかな?)という時点で天を仰ぎたい。絵解きか!お洒落か!京都かよ!(田舎者の叫び)みなさんどうか買ってくださいそして惚れてください。わたしはあのロゴで茶が飲める。
そして是非、お買い物したときやお土産でいただいた際に、その紙袋をよく見てくださいませ。 光の加減で草花が浮き上がるような、控えめな表面加工が施されているのです。 ねえ、お着物ですか?こんな紙袋持って「娘さんをください」って来られたら「どうぞ!」って即答するよ?むしろ紙袋に嫁がせたい。娘いないけど。
世迷言はさておき、ようやく本題のお菓子です。
いわゆる「ヴァッフェル」ですね。なみなみしたクッキー生地がシュガークリームを挟んだシンプルな形。鼓月さんが発祥らしいのですが、今ではあちこちで見かけるものになりましたね。
ところで、なぜあれはなみなみしているのでしょう。そしてどうしてまんなかに、不思議な形の焦げ目?があるのでしょう。 これについての解説を読んでから、私の心は千寿せんべいに奪われています……もう棺桶に入れて欲しい……
さて、技術的な話をしますと、ヴァッフェル生地を焼く器具がなみなみしてるからあの形になるらしいのですが、鼓月さんはそこに一つの濃い焼き目を入れるとともに、こんな意味を付けました。
「波の上を飛ぶ、一羽の鶴(の、影)」
惚 れ た 。
もう、ズルい。京風に「いけず」と言うべきか。あのシンプルな形の中に、そんな壮大な光景と意味を込めるなんて。洋菓子の形をしていても、あれは間違いなく「京菓子のお店」が作ったお菓子なのです。尊い……
(あと鶴だから「千寿」せんべいなのね、と、書き直しながら気付きました。おめでたいお菓子なのですね)
+++++
以上。
もともと、活字と見ればなんでもかんでも読まずにいられなかった私ですが、この千寿せんべいとの出会いから、
「お菓子に添えられたしおりには、どんなことが書かれているのだろう」
ということが気になり始めました。
(たぶん最初に読んだ時はこの解説があったと思うんですよ……たぶん。何故かその記念すべき一枚目を保管してないのです、私のおばか。鼓月さんのホームページには載ってます)
そして数年。
しおりを集めてゆくうち、しおりにもそれぞれ個性がある、と感じるようになりました。紙の質感、文字のフォント、説明文の内容、添えられた写真やイラスト……お菓子そのものに負けず劣らず、バリエーション豊かです。
この面白いしおりの世界を、自分だけで楽しむのではなく、他の方にも知ってもらいたい。そう思い、ブログという場を使わせてもらうことにしました。
しおりの他にも、パッケージや箱の観察も好きですので、そちらも扱ってゆけたらいいな、と思っております。
拙いながらも細く長く続けてゆくつもりでおりますので、どうぞよろしくお願いいたします。