とかくことばは
面白い。
そんなふうに思ったできごとが、ありました。
先日のことです。
一月前に入社された社員の方が、お先に失礼しますと事務所へ顔を出された際、
「あの――実は自分、昨日、社長に――」
さて、彼はこのあと何と言ったのでしょう。
1, 辞めさせて頂きたいという話をしまして……
2, 早く仕事を覚えろよと叱られまして……
3, お会いできなかったものですからご伝言を……
くせものは「実は」だと思うんですが、まあとにかく、
彼の話し始めた瞬間、私は上のような続きを予想したわけです。
この予想を立てるために大活躍しているのが
社長「に」
という助詞ですよね。
1, では「話をする」先を示し、
2, では「叱られる」という受身の表現になり、
3, では「会いたい人」を指定しています。
助詞とはつまり、そこから先の話の広がり方を絶妙に舵取りする、まさにキイ・ワードなのだなあ、と、しみじみ思いました。
助詞の直後で寸止めっていうシミュレーションゲームもありですね。シナリオ書くの楽しそう。
で、実際の話の続きですが
「――お土産を持って帰るように言われたんですが、忘れちゃいまして」
おお、平和。
ちょっと
気になったことがありました。
コンビニで買ったおにぎりに、
「梅こんぶ」
うん、美味しそう。
その横に小さく、
「Piclked Plum & Seaweed」
(直訳:スモモの漬物と海藻)
うーん、美味しい、かなあ?
その後いろいろ調べてはみましたが、料理本にも「梅干し=pickled plum」と書かれているので間違いとは言えないみたい。
事実を述べてはいるのだけど、なんかこう、風情がないというか……
日本語はわからないけど英語は読めるよ!って方々は、
食欲を刺激されるのだろうか?と、心配。
いっそ、
「Umeboshi & Kombu」
としたほうが、意味不明でもエキゾチックで美味そうだなあ、と、
私は思う。
ぽちぽち
LINEが、苦手です。
LINEは、苦手です。
LINEを、苦手に感じます。
LINEに、苦手意識を持っています。
ネガキャンではありませんのであしからず。
現代人にあるまじき発言とは知りながら、苦手なのです、アレ。
会話のように返信しなきゃ、という首に巻かれた鎖の如き義務感と、
短い言葉で正確に意図を伝えなきゃ、という綱渡りに似た緊張感が。
たとえ短くとも文を紡ぐのならば、
それは目に優しく、耳に心地良く、舌に快い文章であってほしいのです。
そのためにはじっくり、ゆっくり考えて、
書いたり消したり足したり引いたりできる、メールや手紙のほうが、
性に合うなあ、と思うのです。
現代のすぴいどに、付いてゆけない現代人です。