04_思いを馳せる

飽きっぽい人がどうなることかと思っているうち、なんとか4回目の記事を書けそうです。今週は、平日の内からちょこちょこと書き溜める形式を取ってみました。一日で書こうとすると、数時間掛るんですよね、おもにあれこれ調べることに。しおりを読んで考えるのは一瞬なのになあ……難しい……

とにかく、始めるとしましょう。

 

今まで京都、伊勢と扱ってきましたので、今回はバランス(?)を取って東京土産を。

扱いますのは

 

千住宿 喜田家」さんのしおりです。

 

なんと手元には形大きささまざまに、4枚もあるのです……4回も頂いた記憶はないので、たぶん一つの箱に入っていたのでしょうね。
このときのお菓子はおそらく

 

「東京名物 江戸太鼓」
「東京一○一○(いちまるいちまる)」

 

の詰め合わせだったのではないかと思われます。喜田家さんの商品を一覧できるしおりの他に、独立したものがあったので。そちらを見ていきましょう。

(超余談なんですけど、勤務先ではやたらと「みる」って言葉を使うんですよね。単純なlookとかseeじゃなく、「読む」の他に「検討する」「確認する」「担当する」「予定を立てる」……みたいな。皆さんの職場でも同じでしょうか?面白いなあと思いつつ、つい使ってしまう自分もいて、ボキャブラリーが貧困になっていないか心配です。)

 

まず「江戸太鼓」。

こちらのしおりは光沢のない、ほぼ正方形(9cm×10cm)の紙一枚。障子紙ほどざらざらしてはいませんが、半紙よりしっかりとした質感。手に馴染みやすくて「いつもの紙」という印象です。表には横から見た太鼓の絵とお菓子の名前が、親しみのある筆遣いで描かれています。すべてモノクロでまとめられており、紙質と合わせて「太鼓」の威勢のいい、さっぱりした印象を受けます。

裏にはお菓子の説明がありました。イメージは江戸下町の祭り太鼓のようです。醤油皮に胡麻餡のおまんじゅう。シンプルだけど、こだわりの詰まった商品とお見受けしました。なんとなく、つい幾つも食べてしまいそうですね。

この説明文もまたリズムが軽快。「勇壮な若衆の祭姿の出で立ち」「血も滾り」「気も踊り」とイ音が続くためか、文に動きが感じられます。最後の「ひと口小さく……」はもしかして、CMで使ったことのあるフレーズなのでしょうか?七五調で、からっとした華やかさのある女性が歌っていそうな文句です。

 

続いて「東京一○一○」。

こちらはつるりとした感触の紙で、大きさは先ほどの「江戸太鼓」と同じくらい。表面に、両脇を群青色に挟まれて、白地に群青でお菓子の名前が入っています。バックには薄縹色で「千住」の文字。こちらはガラリと現代的ですね。名前にも東京って入るくらいだし……そういえば、なぜこのふりがなが必要になるような名前なの?と思ったら、きちんと裏面に答えが書いてありました。

まず社名にも入っている通り、喜田家さんは千住宿が発祥の地なのだそう。東京の歴史と地理に疎いのでぴんとこなかったんですけども、日光街道奥州街道)最初の宿場町だったのですね。よく栄えた宿場町だったようです。

そんな歴史を持った千住にちなみ、「いろいろ」歴史のある「せんじゅ」に「十人十色」をかけてこの名前になったのだそう。そんなにいくつもの意味があるとは思ってみませんでした。こちらはミルクとバターの洋菓子ですから、二つで江戸と東京、昔と今を感じることのできる詰め合わせだったようです。

(オンラインショップを探したら、まさに「江戸・東京 まつり」という詰め合わせが売られていました。頂いたのはたぶんこれですね。そして「いちまるいちまる」の表記は「1010」でいいらしい……私の気遣い……)

 

ちなみに、もう一つのしおりは喜田家さんのブランド「六人衆」のものでした。紙はしっかりとしたほうで、手触りはやわらかめの紙箱の表面がつるつるした感じでしょうか(誰がわかるんだ)。これが、なんとなく、手作り感を感じるしおりなんですよね。

店名の由来だったり、商品を説明する文は見覚えのある楷書体。写真と文との隙間がどこか不自然だし、文章もなんとなく寸足らず、舌足らず。極めつけは各店舗の紹介欄で、時刻表記の体裁が揃ってない……「地下1階」と「B1F」がある……。というのは、断っておきますがべつに文句ではないのです。

あくまでこれは私の勝手な妄想ですが、これは和菓子職人さんたちが、自分たちの手で「やりたい」とプロデュースしたブランド、お店、そしてしおりなのだろうな、と思うのです。そこに新しいことに挑戦する熱意や初々しさ、そして可能性を感じて、とても微笑ましいな、と思うのです。これなら是非行ってみたい、食べてみたい、と思うのです。つくり手さんの存在がそこに見える。だから私はしおり読みが好きなのです。

以上、長大な妄想にお付き合いいただきましてありがとうございました。

 

それでは、また次回。